米国市場の概況と注目イベント
2025年5月26日週の米国株式市場は、メモリアルデー明けの短縮取引週で始まった。週明けの月曜日は市場が休場となったため、実質的には4営業日の展開である。注目されたのは、5月の米PCE(個人消費支出)デフレーターの発表および複数のFRB(米連邦準備制度理事会)関係者の発言である。インフレ動向を占う上で、PCEはFRBが重視する指標として知られており、利下げ期待の強弱を左右する。
同週の主要イベントは以下のとおりである。
- 5月30日(木):米PCEデフレーター(前年同月比2.7%、予想通り)
- 複数のFRB高官がインフレ抑制への慎重な姿勢を強調
- エヌビディア(NVDA)の続伸によるAI関連銘柄の上昇
S&P500の週間パフォーマンス
S&P500指数は、週初の5月28日(火)に小幅に上昇してスタート。その後も安定した推移を見せ、特に木曜日にはPCE発表後に買いが集まり、指数は終値ベースで5,900ポイント台を維持した。週末5月30日(金)には、前日比-0.49ポイント(-0.01%)とわずかに下落したものの、終値は5,911.68ポイントと週間を通して堅調に推移した。




年初来のリターンはこれで+12.3%に達し、AI関連やテック株を中心とした上昇トレンドは継続している。
他の主要指数との比較
S&P500以外の指数の動向も確認しておこう。
- NASDAQ総合指数:週間+2.1%。エヌビディアとマイクロソフトの堅調な決算が寄与。
- ダウ平均株価:週間+0.6%。生活必需品や金融株が伸び悩み、上昇幅は限定的。
特にNASDAQの強さが目立ち、AI関連銘柄や半導体セクターが全体の上昇をけん引していることがわかる。
セクター別の動き
S&P500の構成セクターのうち、上昇率が高かったのは以下のとおりである。
- 情報技術(IT):+3.4%
- 通信サービス:+2.0%
- 一般消費財:+1.6%
一方で、エネルギー(-0.5%)や公益事業(-0.2%)は軟調であった。原油価格の調整や利回り上昇によるディフェンシブ銘柄の売りが影響している。


個別銘柄の動向
特筆すべきはエヌビディア(NVDA)の動きである。5月22日の決算発表後、株価は急騰し、今週も連日の年初来高値を更新。時価総額は一時3.2兆ドルに達し、マイクロソフトに次ぐ米市場第2位の座を維持した。
他にも、
- テスラ(TSLA):中国市場での値下げ報道で一時下落も、週末にかけて反発
- アップル(AAPL):WWDC(世界開発者会議)を前に買いが先行
- コストコ(COST):決算内容が市場予想を上回り大幅上昇
など、個別銘柄のニュースが指数全体の方向感を形成した。
長期投資家としての視点
2025年に入り、米国株はインフレ鈍化とAI関連の成長期待を背景に、堅調なパフォーマンスを続けている。特にS&P500は、グロース株がけん引する形で年初来2桁のリターンを達成しており、投資家心理もリスクオンに傾いている。
一方で、利下げ時期の後ずれや地政学リスクには引き続き注意が必要である。FRBの次の一手を見極めるには、今後の雇用統計やCPIなどのマクロ指標の動向が鍵を握る。


指数の上昇に浮かれることなく、分散投資と中長期の視点を持ち、ポートフォリオを見直す時期に差しかかっているとも言える。


まとめ
5月26日週のS&P500は、+1.5%の上昇と堅調なパフォーマンスを記録した。PCEデフレーターが市場予想通りだったことでインフレ懸念がやや後退し、AI銘柄やテック株が再び上昇気流に乗った週となった。
NASDAQの上昇やエヌビディアの連騰も注目され、株式市場全体としてはリスク選好が強まる展開であった。一方で、利下げ期待の後ずれやセクター間の格差など、不安材料も残る。
このような中、長期的な資産形成を志す投資家は、目先の変動に一喜一憂するのではなく、今後の金利政策や企業収益の持続性に注目し、冷静な判断を心がけるべきである。
