FIRE後のポートフォリオは本当にリスク分散できているのか?

リスク分散
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はじめに

FIREを達成すると、多くの人が投資スタイルの転換点を迎える。資産形成期では「いかに増やすか」が最大のテーマであったが、FIRE後は「いかに減らさないか」「生活を安定して支えられるか」が主戦場となるからである。

筆者自身もFIRE後に出口戦略としてポートフォリオ(以下PF)を大きく変更した。具体的には、米国株式への偏重を見直し、債券と金を組み入れることでリスク分散を意識した構成へと移行した。本記事では、実際の評価額変動という“リアルな数字”を用いて、FIRE後におけるリスク分散の意味を考察する。

FIRE前とFIRE後で変わる投資の前提

FIRE前の投資では、最大の武器は時間である。一時的な下落があっても、積立と再投資を続けることで回復を待つことができる。そのため、米国株式など成長資産に大きく寄せたPFでも合理性があった。

一方、FIRE後は状況が一変する。生活費を投資資産から賄う以上、大きな下落はそのまま生活リスクに直結する。下落局面での取り崩しは、将来の回復余地を自ら削る行為でもある。

この前提の違いを理解せず、FIRE前と同じPFを維持することは、精神的にも数値的にも大きな負担となりやすい。

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FIRE後は「時間」が最大の味方ではなくなる点が重要である。

出口戦略としてのPF再構築

筆者が行ったPFの見直しは、米国株式偏重からの脱却である。S&P500や全米株式といった成長資産の比率を落とし、その分を先進国債券と金へと振り分けた

この狙いはリターンの最大化ではなく、ボラティリティの抑制にある。つまり、上昇局面での伸びを多少犠牲にしてでも、下落局面での耐性を高める選択である。

FIRE後のPFにおいては、この「守り」の視点が極めて重要になる。

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出口戦略とは売却タイミングではなく、構成そのものの話である。

実際の下落局面で起きたこと

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2025年2月4日の下落局面では、PFの違いが数値としてはっきり表れた。

米国株式を代表するS&P500連動ファンドは、前日比で約26.8万円の下落となった。全米株式型ファンド(VTI)も約2万円のマイナスである。一方で、金と先進国債券は明確にプラスとなった。

具体的には、純金上場信託が約14.8万円の上昇、先進国債券インデックスが約9万円の上昇となり、株式の下落を部分的に相殺する結果となった。全世界株式(オルカン)はほぼ横ばいである。

PF全体で見ると、下落の深さは明らかに抑えられており、心理的な負担も小さかった。

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数字で見ると、分散の効果は想像以上に分かりやすい。

FIRE前のPFだったらどうなっていたか

仮にFIRE前と同様に米国株式中心のPFを維持していた場合、この日の下落はより大きなダメージとなっていた可能性が高い。株式が同時に下落する局面では、逃げ場がなくなるからである。

FIRE前であれば「いずれ戻る」と割り切れる場面でも、FIRE後はそう簡単に割り切れない。評価額の減少は、そのまま取り崩し余力の低下を意味するためである。

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同じ下落でも、立場が変われば意味が変わる。

リターン低下と引き換えに得たもの

PFを分散した結果、資産が増えるスピードは確かに落ちた。しかし同時に、日々の評価額変動も大きく抑えられている。

これは数値以上に精神面での効果が大きい。相場の上下に過剰反応せず、日常生活を安定して送れることは、FIRE後の満足度を大きく左右する要素である。

FIRE後の投資では、リターンだけでなく「眠れるかどうか」も重要な評価軸になる。

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増え方より、減り方の方が気になるようになった。

FIRE後は「増やす」より「減らさない」

FIRE後に実感したのは、「増やすより減らさない方が難しい」という事実である。市場は自分の生活リズムに合わせてくれるわけではなく、下落は容赦なく訪れる。

その中で重要なのは、PF全体でどれだけ衝撃を吸収できるかという視点である。金や債券は地味な存在だが、下落局面では確実に役割を果たす。

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守りの資産は、平時ではなく有事に真価を発揮する。

FIRE後もリスクを取るべきか

では、FIRE後は一切リスクを取らない方が良いのかと言えば、必ずしもそうではない。インフレや長期的な資産保全を考えれば、成長資産を完全に排除するのは現実的ではない。

重要なのは、自分が耐えられるリスク水準を把握し、その範囲内で資産配分を設計することである。FIRE後の正解は一つではなく、生活費、家族構成、精神的耐性によって最適解は変わる。

炎ノ介🔥

FIRE後の投資は正解探しではなく調整作業である。

まとめ

FIRE後のPFにおけるリスク分散は、単なる理論ではなく、実際の下落局面でこそ真価が問われる。本記事で示したように、債券と金を組み入れたPFは、下落時の衝撃を確実に和らげた。

増えるスピードは落ちたが、ボラティリティも落ちた。その結果、相場と適切な距離感を保てるようになったことが、最大の収穫である。

FIRE後は「どれだけ増やせるか」よりも、「どれだけ穏やかに続けられるか」を軸にPFを考える段階に入る。その意味で、リスク分散はFIRE後投資の核心と言える。

リスク分散

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