修繕積立金が高くなる理由とは?
修繕積立金とは、マンションの共用部分の修繕や維持管理に必要な資金を積み立てるものである。新築時には月々数千円から1万円程度と低く設定されることが多いが、築年数の経過とともに徐々に増額される傾向がある。
その主な理由として、以下のような要因が挙げられる。
1. 建物の経年劣化と修繕タイミング
マンションでは一般的に12年~15年、30年~40年といった周期で大規模修繕が行われる。外壁塗装、防水工事、給排水管の更改、エレベーター設備の更新など、多額の費用が必要な工事が該当する。これらの資金を確保するために、修繕積立金の増額は避けられない。
2. 物価上昇と建築コストの影響
近年は建築資材価格の上昇や職人不足による人件費の高騰が顕著である。2020年代に入り、コロナ禍や国際情勢の影響もあり建築コストは一層上昇している。結果として、修繕工事全体の費用も高くなり、当初の想定よりも積立額が不足することが多い。
3. 初期設定の積立金が現実に見合っていない
新築分譲時には販売促進のため、月々の支出が少なく見えるよう修繕積立金を低く設定することがある。しかし、これは販売戦略上の施策に過ぎず、実際の維持管理コストには見合わないケースも多い。結果として、数年ごとに増額されていくのが現実である。


修繕積立金は今後さらに上がるのか?
結論からいえば、修繕積立金は今後さらに増額される可能性が高い。
特に築20年以上のマンションでは、住民の高齢化や建物の老朽化により、資金需要が高まることが予想される。以下に、今後増額が見込まれる要因を示す。
1. 次の修繕工事ラッシュへの備え
30年を超えるマンションでは、エレベーターの全交換、給排水管の全更新、防水工事など、金額的にも大規模な修繕が控えている。これに備えて積立金の増額が検討されるのは自然な流れである。
2. 高齢化社会と積立負担の課題
高齢化により、住民の中には修繕積立金の増額に対し反対意見を持つ者も少なくない。しかし、資金が不足すれば一時金徴収という形でより大きな負担が発生する恐れがある。管理組合としては計画的に積立金を上げていくことが求められる。
3. 建築基準の変化と省エネ・バリアフリー対応
時代とともに建築基準も変化しており、例えば耐震性能の向上や省エネ設備の導入、バリアフリー化などが求められるようになっている。これらへの対応には追加の費用が必要であり、結果として積立金の増額につながる。


2024年2月には国土交通省が、段階的な積立金増額の目安として最大1.8倍までを適正とするガイドラインを公表した。これにより極端な値上げは抑制される見込みであるが、増額そのものを避けることは難しい状況といえる。
実際の管理費・修繕積立金を公開
ここで実際にかかっている修繕積立金の詳細を紹介する。




以前の記事でも紹介したが、約20年前の入居時の修繕積立金は約3,000円だったため、約7倍に増えている計算になる。
修繕積立金の増額にどう備えるべきか?
修繕積立金の増額は避けがたいものであるが、事前に備えることで家計への影響を最小限に抑えることができる。
1. 長期修繕計画書の確認
管理組合が策定している長期修繕計画書には、将来的な修繕のスケジュールや必要資金が明示されている。まずはこれを確認し、自分のマンションがどのタイミングでどのくらいの費用を必要とするのかを把握することが大切である。
2. 一時金徴収の有無を確認
積立金が不足した際には一時金徴収が行われる場合がある。場合によっては1戸あたり数十万円に達することもあるため、日頃から一定の貯蓄をしておくと安心である。
3. 総会や住民説明会への参加
積立金の増額には住民の同意が必要なケースも多い。情報共有や意見交換の場である総会や説明会には積極的に参加し、理解を深めることが重要である。住民全体で合意形成を図ることが、将来のトラブル防止にもつながる。


まとめ
修繕積立金が月2万円を超えるような水準になる背景には、建物の老朽化、修繕コストの上昇、そして新たな建築基準への対応といった複合的な要因が存在する。築20年以上のマンションでは、このような増額は特別なことではなく、今後もさらなる増額が見込まれる。
だからこそ、長期修繕計画を確認し、将来的な資金負担に備えて早めに準備しておくことが重要である。必要に応じて住民同士で情報共有を行い、無理のない資金計画を立てることが、安心してマンションに住み続けるための第一歩となるであろう。

