投資信託は運用だけでなくコストにも注意が必要
投資信託を選ぶ際、多くの投資家は「リターン」や「運用実績」に注目しがちである。しかし、投資信託を運用する上で見落としがちな要素の一つが「コスト」である。
例えば、500万円を年4%の利回りで運用した場合、信託報酬が1.5%のファンドと0.1%のファンドでは、20年後の最終的な資産額に大きな差が生じる。
- 信託報酬1.5%のファンド:約8,252,938円
- 信託報酬0.1%のファンド:約10,821,059円
- コストによる資産額の差:約2,568,121円
このように、年間のコスト差がわずか1.4%であっても、長期的には数百万円の違いになる可能性がある。特に、長期投資では手数料が複利効果を削る要因となるため、事前にコストをしっかり把握しておくことが重要である。
本記事では、投資信託にかかる主なコストの種類や、その確認方法について解説する。
投資信託のコストの種類
投資信託にはいくつかのコストが発生する。代表的なものとして「販売手数料」「信託報酬」「信託財産留保額」の3つが挙げられる。
販売手数料
販売手数料は、投資信託を購入する際にかかる費用である。これは証券会社や銀行などの販売会社が設定しており、投資信託の購入時に一括で支払う。
販売手数料の特徴
- 対面型販売の投資信託では比較的高額:銀行や証券会社で販売される投資信託は、販売手数料が高めに設定されていることが多い。
- ネット証券ではノーロード型もある:最近では、販売手数料が無料の「ノーロード型」の投資信託が増えており、手数料負担を抑える選択肢もある。
- 一度支払うと取り戻せない:販売手数料は購入時に差し引かれるため、運用成果に関わらず、すでにコストとして発生している点に注意が必要である。
信託報酬
信託報酬は、投資信託を運用するために発生する費用であり、投資家が間接的に負担する形となる。投資信託の資産残高に対して年間で一定の割合が差し引かれる。
信託報酬の特徴
- 運用会社・販売会社・受託銀行が分配:信託報酬は、運用会社(ファンドマネージャー)、販売会社(証券会社など)、受託銀行(資産の管理機関)の3者に分配される。
- インデックスファンドは低コストのものが多い:市場平均に連動するインデックスファンドは信託報酬が低く、0.1%~0.3%程度のものが多い。
- アクティブファンドはコストが高め:市場平均を上回るリターンを目指すアクティブファンドは、運用コストがかかるため、信託報酬が1%~2%程度と高くなる傾向がある。
- 毎日発生し、基準価額から差し引かれる:信託報酬は日々計上され、基準価額に反映されるため、投資家は目に見えにくい形でコストを負担している。
信託財産留保額
信託財産留保額は、投資信託を解約する際に発生する費用である。投資信託の資産流出を防ぎ、既存の投資家の利益を守るために設定されている。
信託財産留保額の特徴
- 解約時にかかる手数料:投資信託を売却するときに一定割合が差し引かれる。
- 0%の投資信託も多い:すべての投資信託に適用されるわけではなく、信託財産留保額が設定されていないファンドも多い。
- 短期売買を抑制するための仕組み:頻繁な売買を防ぐための制度であり、長期投資を促す目的もある。


投資信託のコストの確認方法
投資信託のコストは、事前に確認することが可能である。以下の方法を活用して、投資前にしっかりと把握しておこう。
目論見書を確認する
投資信託の「目論見書(もくろみしょ)」には、販売手数料・信託報酬・信託財産留保額などのコストが詳細に記載されている。
- 販売手数料 → 目論見書の「購入時手数料」欄を確認。
- 信託報酬 → 「運用管理費用(信託報酬)」欄をチェック。
- 信託財産留保額 → 「換金時手数料」の欄を確認。
投資信託の運用報告書をチェックする
投資信託は定期的に運用報告書を発行しており、実際のコスト負担額を確認できる。
証券会社のウェブサイトを利用する
証券会社のファンド情報ページでは、信託報酬や販売手数料が一覧表示されているため、手軽に比較できる。
実際に運用しているファンドのコスト
以下は、楽天証券の「eMAXISS Slim米国株式(S&P500)」のファンド情報ページである。安い信託報酬のみで販売手数料と信託財産留保額は設定されていないことが分かる。




まとめ
投資信託を運用する際は、リターンだけでなく「コスト」も重要な要素となる。販売手数料、信託報酬、信託財産留保額といった各種コストが運用成果に影響を与えるため、事前に確認し、可能な限り低コストのファンドを選ぶことが長期的な資産形成において有利となる。
特に、信託報酬は運用期間中ずっと発生するため、投資信託を選ぶ際には十分に比較し、手数料の影響を考慮することが重要である。コストを適切に管理し、資産運用のパフォーマンスを最大化するために、事前の情報収集を怠らないようにしよう。

