はじめに
FIRE(Financial Independence, Retire Early)を実現した後、自由な時間と生活の裁量を手に入れる一方で、見過ごせないのが「健康管理」という課題である。特に日本では、高齢になるほど医療費が増大し、生活費の大半を医療関連支出が占めることも珍しくない。資産寿命と同じく「健康寿命」を意識しなければ、FIREの恩恵が台無しになる可能性すらある。
本記事では、FIRE後に取り組むべき健康管理の実践法、医療費との付き合い方、公的制度の活用方法までを詳しく解説する。
FIRE後の健康管理が重要な理由
FIRE後は、現役時代に比べて仕事による運動量が減る一方で、加齢による疾患リスクが年々高まる。以下のような理由から、FIRE生活と健康管理は切っても切り離せない関係にある。
- 病気によって働く選択肢が絶たれる可能性がある
- 高額な医療費が資産を圧迫するリスク
- 公的保険制度の自己負担割合が増えるタイミング(75歳以上)
- 健康であれば生活コストを抑えられる
健康であること自体が最大の節約であり、FIREを長く維持する鍵でもある。


不調が出てから対策するのではなく、健康なうちからの予防がFIRE生活の基本である。
具体的な健康習慣の例
FIRE後は、自分の生活スタイルに合った運動習慣を確立することが重要である。筆者の実例を交えて、現実的かつ継続可能な健康管理法を紹介する。
有酸素運動:エアロバイク
筆者はエアロバイク(1万円台)を購入し、週3回、1回あたり30分のペースで漕いでいる。天候に左右されず、テレビや音楽を聴きながらできるため、飽きずに継続しやすい。
- 運動強度は心拍数110〜120程度を維持
- タブレットや読書と併用して時間を有効活用
- 消費カロリーの記録やアプリ連携でモチベーション維持


外出が面倒な日は室内バイクが強い味方となる。
筋トレ:ジムと自宅のハイブリッド型
週2回を目安に筋トレも実施している。1回は市区町村運営のジムを利用し、もう1回は自宅で自重トレーニングを行う。
- 市営ジムは1回200〜500円程度と低コスト
- マシンを使った全身の筋力維持に効果的
- 自宅ではプランクやスクワットを中心に15〜20分の短時間集中型


ジム代が高いと続かないが、市営ジムはFIRE生活と相性がよい。
医療費が家計に与える影響
老後の医療費は、FIRE後のライフプランにおいて無視できない出費である。特に以下のような状況では、医療費が家計に大きなインパクトを与える。
- 慢性疾患(糖尿病・高血圧・関節疾患など)による長期通院
- 入院や手術が必要な急性疾患
- 歯科治療や眼科治療など保険適用外の治療
- 高額な自由診療(インプラント、レーシックなど)
厚生労働省の調査によると、70代の1人当たり年間医療費は約77万円。FIRE後の生活資金としては、相応の備えが必要である。


突然の医療費増加に耐える余裕が、FIREを安心して続ける条件である。
医療費に備える具体的な方法
FIRE後の医療費をカバーするためには、以下のような備えが現実的である。
高額療養費制度の理解と活用
公的保険制度には、月ごとの自己負担上限が定められている高額療養費制度がある。収入に応じて上限額が異なるため、自分の所得区分を把握しておくことが重要である。
がん保険の選定
すでに十分な金融資産がある場合、過剰な民間保険は不要。ただし、がんに特化した保険など、必要最小限の保障は検討の余地がある。
健康診断や人間ドックの活用
症状が出てから治療するのではなく、予防の視点から定期的なチェックを受けることが重要である。自治体によっては、補助金が出るケースもある。


公的制度+現金クッション+最小限の保険が三本柱である。
健康管理に役立つアプリやガジェット
FIRE後は、自己管理の精度を高めるためにも、テクノロジーの活用が欠かせない。以下は筆者も活用しているツールの一例である。
- スマートウォッチ(Apple Watch等):心拍、睡眠、運動の記録
- 食事記録アプリ(あすけん等):栄養バランスの可視化
- 運動記録アプリ(Strava、Google Fitなど):週ごとの達成状況を確認


記録するだけでも健康意識が高まり、結果的に節約にもつながる。
まとめ
FIREを達成しても、「健康」という土台がなければ、その自由は真の意味では享受できない。むしろ、自由な時間があるからこそ、自分の健康と丁寧に向き合う習慣が求められる。
医療費が老後破産を引き起こす時代において、予防的な健康管理は最大の保険であり、節約術でもある。ジム通いや自宅トレーニング、エアロバイクの活用、制度や保険の見直し、日々の生活習慣の見直しこそが、FIRE生活の継続力を支える最大の武器となるであろう。

