はじめに
FIREを目指す者にとって、日々の時間の使い方は「お金の使い方」と同じくらい重要である。今井孝氏の著書『いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才』は、その時間の本質的な使い方について、非常に実践的かつ深い気づきを与えてくれる一冊だった。今回の記事では、本書の要点と筆者が感じた学びを紹介しつつ、FIRE生活にも応用可能な視点で読み解いていく。
幸せには3つの種類がある
本書の中で特に印象的だったのが「幸せの3分類」である。以下の図にもあるように、今井氏は幸せを次の3つに分類している。
- 達成感:目標を達成したとき、ゲームをクリアしたとき、筋トレをやり切ったときなどに得られる快感。
- ふれあい:子どもやパートナー、仲間と過ごす心のつながり。
- リラックス:一人で音楽を聴いたり、風呂に浸かったり、心身を休める時間。
これら3つの幸福は、どれか一つだけが突出していても人は満たされない。例えば、ネットビジネスで大きな成果(達成感)を得ても、仲間とのふれあいや自分だけのリラックスタイムがなければ、充実感は長続きしない。
FIRE生活においても、達成感だけを追い求めたり、ふれあいが減少したりしないよう、この3つの幸福をバランスよく配分することが大切であると感じた。
自分にとってどの幸福が足りていて、どれが不足しているのかを常に意識していくことで、より持続可能なFIRE生活を送れるだろう。これは、FIRE後に孤独を感じる人や、時間の浪費に悩む人にも強く刺さる視点である。


お風呂にゆっくり入る時間がここまで重要とは思っていなかった。
「最高のひととき」を味わうには「2時間」がカギ
著者が提唱するのは、「たった2時間の最高の時間を意識的に味わうこと」が幸福感に直結するという考え方である。これは「すべての時間が充実していないと幸せではない」という思い込みを手放すという意味でも非常に示唆に富む。
実際、FIRE生活では「1日が全部自由」であるがゆえに、逆に満足度が下がってしまうことがある。そんな中、意識的に2時間だけ「自分にとっての最高のひととき」を組み込むだけで、日全体の幸福度が劇的に上がるというのは、実体験としても共感できる。
この2時間は、人によっては読書の時間かもしれないし、パートナーとの散歩、映画を観る、カフェでのんびりするなど、何でも良い。重要なのは、「自分にとっての幸福のタイプ(達成感・ふれあい・リラックス)」を意識した時間設計をすることだ。


2時間だけでいいと思うと、毎日のスケジューリングも楽になる。
毎日を充実させるための6つのステップ
最後に紹介されている6つの復習項目は、実にシンプルでありながら、日常に落とし込むことで確かな効果を発揮するだろう。
- 「すべての時間が充実していなければ幸せじゃない」という考えを捨てる
- 日常のムダを見つけ、それをやめていく
- 「自分を幸せにしてくれること」を見つける
- 「最高のひととき」を味わうためのスケジュールを立てる
- 長期的な目標を見出し、未来のために時間を使う
- 幸福感を意識的に味わう
この6ステップは、FIREの計画段階からすでに応用可能である。特に5の「長期的な目標を見出し、未来のために時間を使う」は、資産形成においても不可欠な視点である。
また、6の「幸福感を意識的に味わう」は、取り崩し生活に突入したあとにこそ意識すべきだ。お金を使っても心が満たされない時、「幸せを味わえているか?」と自問するだけで、満足感が変わってくる。


自分の行動を「ムダ」ではなく「選択」と捉えるように意識してみたい。
FIRE生活との親和性が高い一冊
本書の特徴は、理論よりも「小さな実践」に重きを置いている点である。「いま、この瞬間をどう味わうか?」という問いは、FIRE後の生活を送る者にとって極めてリアルで、価値のある問いである。
筆者自身もFIRE生活を送りながら、日々の「幸福の3分類」のどれを優先すべきかを考えるようになった。たとえば、達成感ばかり追い求めて疲弊していないか?リラックスの時間を後回しにしていないか?
FIRE後の時間設計に迷っている人、働く時間が減ったことで「1日の使い方」に不安を感じている人には特におすすめしたい一冊である。
本書が投げかける「2時間の最高の時間をつくる」視点は、自由な時間が増えるFIRE生活だからこそ、一層深く活きるだろう。


「お金の使い方」以上に「時間の使い方」で人生の満足度は変わる。


まとめ
『いつも幸せな人は、2時間の使い方の天才』は、FIRE生活における時間の使い方の「設計図」となる一冊である。幸せの3分類(達成感・ふれあい・リラックス)と、2時間だけ最高の時間を味わうという視点は、シンプルでありながら実践的である。
本書を通じて、自分にとっての「幸せの時間」は何かを再確認し、無意識に過ごしていた時間に「意識の光」を当てることで、FIRE後の毎日がより充実したものになるだろう。


