iDeCoの商品数はなぜ35本以内に制限されているのか?
iDeCo(個人型確定拠出年金)は、2017年に制度が拡大されて以降、多くの加入者が利用するようになった制度である。その運用商品数について、2018年5月の確定拠出年金法改正により「原則35本以内」と制限が課せられた。この背景には、商品が多すぎると初心者にとって選びにくくなるとの配慮がある。かつてのSBI証券のiDeCoでは67本もの投資信託がラインナップされていたが、この法改正に伴い大幅な削減を余儀なくされ、オリジナルプランからセレクトプランへの移行が進められた。
「除外」とは何を意味するのか?
「除外」とは、iDeCoのプランにおいて、運営管理機関が既存の投資信託の取り扱いを終了するプロセスを指す。ただし、すでに保有している商品については、そのままの保有・運用が可能であるが、新たに買い増すことはできなくなる。除外には、顧客からの同意が必要であり、投資家にとっては大きな判断が求められる場面となる。


楽天証券はなぜ9本の投資信託を除外するのか?
2025年5月15日、楽天証券はiDeCoの運用商品から9本の投資信託を除外する方針を発表した。その理由として、「マーケットの動向やファンドトレンドの変化」「信託報酬の低下」「投資対象の変化」などを挙げており、長期的な資産形成に適した商品を選別するためと説明している。
該当する加入者にはメールで案内が届いており、2025年3月31日時点で対象ファンドを保有、あるいは配分指定・スイッチング指図をしている場合、6月30日までに「除外に同意しない」旨を回答書で提出する必要がある。2/3以上が同意すれば、8月1日以降その商品は新規購入不可となり、代替商品への配分変更が必要となる。
除外されるファンドのパフォーマンスは本当に劣っているのか?
除外対象の9本はすべてアクティブファンドである。楽天証券の発表によれば、これらファンドは「パフォーマンスが基準を下回った」とされている。しかし、楽天証券の比較表では、除外対象ファンドの中にも1年・3年・5年で一定のリターンを出しているものもあり、一律に「劣っている」と言い切れるかは疑問である。
特に、セゾン投信の「資産形成の達人ファンド」は、運用方針に独自性があり、楽天証券の評価に異議を唱えている。


アクティブファンドの評価は一元的な指標だけでなく、そのファンドの運用哲学や投資スタイルも含めて判断する必要があるだろう。
対象ファンドを保有している投資家が取るべき行動は?
もし今回除外対象となるファンドを保有している場合、まず行うべきは楽天証券からの案内に目を通すことである。そして除外に同意しないのであれば、必ず期日までに回答書を提出することが重要である。
何もアクションを取らない場合、自動的に除外に同意したと見なされ、以後の買い付けができなくなる。運用自体は続けられるものの、新規配分の指図ができず、資産形成に不利となる可能性もある。


除外された後の動きとして、楽天証券は新たな商品をiDeCoのラインナップに追加する可能性があるため、代替となる低コストかつパフォーマンスの良い商品を検討しておくとよい。
iDeCoのファンド入れ替えは他社でも起こる可能性がある
今回の楽天証券のようなファンド除外の動きは、他の金融機関でも今後起こる可能性がある。iDeCoの35本制限がある限り、時代や投資家ニーズに応じた商品入れ替えは避けて通れない。
したがって、iDeCo加入者は、単に一度商品を選んで終わりではなく、定期的にラインナップや信託報酬の見直し、ファンドの運用実績を確認する姿勢が求められる。


インデックスファンドを選んでいる場合でも、運用会社間での手数料差があるため、同一カテゴリー内での見直しは必要である。


まとめ
楽天証券がiDeCoラインナップから9本の投資信託を除外する背景には、法的な商品数制限と、投資家の資産形成を最適化する目的がある。除外対象となった商品は、アクティブファンドが中心であるが、そのパフォーマンスや運用哲学には多様性があり、一概に「除外されて当然」とは言い切れない。
投資家としては、楽天証券からの案内に従い、意思表示を明確にすること、そして自身のポートフォリオを見直すきっかけとすることが重要である。iDeCoは長期運用を前提とした制度であるがゆえに、商品選びにも定期的なチェックと柔軟な対応が求められるのである。

