『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(ハンス・ロスリング ・他著)を読んで

『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(ハンス・ロスリング ・他著)
目次

世界は「思っているより」ずっと良くなっている

『FACTFULNESS』は、世界の現状に対する根強い誤解を「10の本能」として整理し、データに基づいた正確な視点で世界を見直すことの重要性を説いている。著者のハンス・ロスリングは、医師であり公衆衛生の専門家として、多くのデータと実地の経験を通じて、人々が世界についていかに誤ったイメージを持っているかを明らかにしていく。

驚くべきは、教育水準、医療体制、貧困率など、ほぼすべての分野で世界は改善の一途を辿っているにもかかわらず、人々の多くが「世界はどんどん悪くなっている」と感じていることである。著者はこの現象を「ドラマチックな本能」「ネガティブな本能」と呼び、情報の受け取り方のバイアスを指摘する。

10の思い込みを打ち破る

本書の中心的なテーマは、以下の10の本能(思い込み)に気付き、それを乗り越えることである。

  1. 分断本能:世界を「先進国」と「発展途上国」に分けて捉えてしまう。
  2. ネガティブ本能:悪いニュースばかりに注目し、世界の進歩を無視してしまう。
  3. 直線本能:ある傾向が永遠に続くと誤解する。
  4. 恐怖本能:恐ろしいものに必要以上に注意を払ってしまう。
  5. 過大視本能:目立つ数字や事象を過剰に重視してしまう。
  6. パターン化本能:1つの事例から全体を判断してしまう。
  7. 宿命本能:すべてが変わらないという思い込み。
  8. 単純化本能:単純な説明で複雑な問題を解釈してしまう。
  9. 犯人探し本能:誰か1人を悪者にしてしまう。
  10. 焦り本能:すぐに行動しないといけないと感じてしまう。
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これらの本能に振り回されることなく、事実に基づいて世界を見ることで、より的確な判断が可能になると説いている。

印象的だったエピソード

印象的だったのは、世界の大多数が「極端な貧困」にあると考えているが、実際には人口の約80%が中間所得層に属しているという事実である。著者は、スウェーデンの家庭用品店で売られている日用品のラインアップを使って、所得レベルごとの生活を視覚化し、4つのレベルに世界の人々を分けて説明する。

また、ナイジェリアの女子教育の進展や、バングラデシュでの母子死亡率の劇的な改善など、地道な国際支援や現地の努力によって社会が大きく前進している実例も数多く紹介されており、悲観的なニュースだけでは見えてこない希望の光がある。

教養としてのデータリテラシー

本書を読むことで、現代人にとっていかに「データを読む力=ファクトフルネス」が重要かがわかる。SNSやニュースが氾濫する現代において、直感や感情に頼らず、統計や事実をもとに物事を判断する姿勢は、教養の一部として必要不可欠である。

特に投資家や経済分析に関心のある読者にとっては、感情に流されずに「正しい認識」を持つことがパフォーマンスの差に直結するとも言える。国際情勢や人口動態などのトピックに対して、正確な前提知識を持てることは、判断の質を大きく高める。

学びと行動のギャップを埋める

知識として知っていても、それを実際の行動に反映させることは難しい。著者はこの「学びと行動のギャップ」を埋めるための一歩として、「クイズを通じて自分の思い込みを可視化する」ことを推奨している。実際に読者向けに簡単なクイズが書籍内にあり、自分の認識がいかに世界の現実とかけ離れているかを実感できるよう工夫されている。

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また、「急いで判断を下さない」「複数の視点を持つ」「問い直す習慣を持つ」といった、思考の土台を変えるための具体的な提案もされている。

ファクトフルネスを実生活に取り入れる

本書の内容は、決して一部の専門家だけに必要な知識ではない。日常生活やビジネス、教育、政治に至るまで、あらゆる場面で「思い込み」から解放され、ファクトに基づく意思決定が求められている

たとえば、メディアが報じるニュースに対して、「それはどの範囲のデータに基づいているのか?」「どの地域の情報なのか?」と自問するだけで、情報の受け取り方が一変する。SNSでの意見の対立やフェイクニュースの拡散にも、本書で紹介されている思考法は有効である。

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個人がファクトフルネスを実践することで、社会全体の情報リテラシーが底上げされ、より良い判断が連鎖的に広がっていく未来も見えてくる。

まとめ

『FACTFULNESS』は、悲観に満ちたニュースや先入観に流されがちな現代人に対して、「世界を正しく見る」ための羅針盤を与えてくれる一冊である。世界は確実に良くなっているという事実を、多くのデータとエピソードで裏付けながら伝えており、読み終えた後には希望と前向きな視座を持つことができる。

「感情」ではなく「事実」を基に考える習慣、それがファクトフルネスである。読み手に新たな視点と行動変容を促す、現代の必読書であると断言できる。

『FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』(ハンス・ロスリング ・他著)

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