近年、行政手続きのデジタル化が急速に進展する中、パスポート申請においてもオンライン化が進められている。これまで「更新申請」に限られていたオンライン対応であったが、政府は2025年3月21日に、パスポートの「新規発行」もオンラインで申請できるようにすることを正式に発表し、3月24日から全国の都道府県で対応を開始した。これにより、初めてパスポートを取得する人でも、自宅から申請手続きを進めることが可能となった。
本記事では、これまでの制度、新たな運用の内容、申請の手順、そして2025年3月24日から変更された旅券手数料について詳しく解説する。
従来のオンライン申請
2022年から、パスポートの「更新申請(切替申請)」に限って、マイナポータルを利用したオンライン申請が可能となった。マイナンバーカードを用いて申請者情報を登録し、顔写真をアップロードすれば、窓口に行かずに申請手続きが完了するというものである。ただし、受け取りは従来通り窓口での本人確認が必要であった。
この制度は多忙な社会人や子育て中の家庭にとって利便性が高く、好評を得ていたが、「新規申請」や「紛失・盗難時の再発行」については対象外であり、完全なデジタル化には程遠かった。
新たなオンライン申請
このような課題を解消すべく、2024年からは「新規申請」のオンライン対応に向けた実証実験が開始された。茨城県や東京都、広島県、神奈川県など一部の自治体が対象となっており、スマートフォンやパソコンを利用して、初めてのパスポート取得手続きもオンラインで進められるようになっている。
申請情報の入力、顔写真の提出、本人確認、手数料の支払いまですべてオンラインで対応可能となり、窓口で必要なのは「交付時のみ」とされている。この新制度により、申請者の負担軽減と、自治体側の事務処理効率の向上が見込まれている。


具体的な申請方法
新しいオンライン申請では、以下の手順が基本となる。
- マイナポータルにログイン
マイナンバーカードを用いてマイナポータルにアクセス。対応端末(スマホまたはカードリーダー付PC)が必要である。 - 必要事項の入力
氏名、住所、生年月日、渡航予定国など、パスポート申請に必要な情報を正確に入力。 - 顔写真のアップロード
パスポート規格に適合する顔写真を撮影し、アップロード。背景や顔の大きさなどの条件を満たす必要がある。 - 手数料の支払い
クレジットカードや電子決済サービスを利用して、申請時にオンラインで支払いを完了する。 - 窓口での受け取り
交付された旅券は、申請者本人が指定の窓口で受け取る。本人確認書類の提示が求められる。
2025年3月24日からの旅券手数料
2025年3月24日より、旅券手数料が一部改定される予定である。以下の表は、申請方法ごとの手数料を、改定前後で比較したものである。
| 種別 | 申請方法 | 3月23日以前 | 3月24日以降 |
|---|---|---|---|
| 10年有効旅券 | 窓口申請 | 16,000円 | 16,300円 |
| オンライン申請 | ー | 15,900円 | |
| 5年有効旅券(12歳以上) | 窓口申請 | 11,000円 | 11,300円 |
| オンライン申請 | ー | 10,900円 | |
| 5年有効旅券(12歳未満) | 窓口申請 | 6,000円 | 6,300円 |
| オンライン申請 | ー | 5,900円 |
表からも分かる通り、オンライン申請においては、窓口申請よりも数百円安く設定されている。これはオンライン申請によって事務コストが削減されることを踏まえた価格設計である。


2025年3月24日からは、新規申請においてもこのような形でオンライン申請が可能となり、利用者の選択肢が広がる。


まとめ
パスポートの「新規申請」までオンライン化されることは、行政のデジタル化における大きな前進である。従来は窓口での手続きが必須だったが、2024年からの実証実験、そして2025年からの制度本格導入により、今後はほとんどの申請手続きを自宅で完結できるようになる。
特に注目すべきは、手数料の改定とオンライン申請者への優遇措置である。オンライン申請によりコストも時間も削減され、申請者にとっては実利のある制度となるであろう。
行政手続きの煩雑さを解消し、市民の利便性を高めるこの新たな取り組みは、今後の他分野への展開にも期待が高まる。パスポートという国際的な証明書の取得が、より手軽に、スムーズに行える時代がいよいよ到来しようとしている。

