はじめに
ここ数年、金(ゴールド)はインフレ対策資産として人気を集めてきたが、最近では値動きが不安定になっている。価格が乱高下を繰り返す中で、「今から買っても遅いのでは?」と感じる投資家も多いだろう。そんな中、再び注目されているのがプラチナ(白金)である。かつては金よりも高価だったプラチナが、いま新しいステージに差しかかっている。本記事では、金とプラチナの違い、価格の背景、そして今後の投資戦略について独自の視点で解説する。
金とプラチナの価格逆転の理由
1990年代までは「プラチナ=高級金属」のイメージが強く、価格も金を上回っていた。しかし、ディーゼル車向けの排ガス浄化触媒需要が減少したことにより、2010年代以降は下落が続き、金との価格が逆転した。一方、金は地政学リスクや金融緩和を背景に買われ続け、投資資産としての地位を固めた。結果、現在では「安全資産=金」「実需資産=プラチナ」という構図が定着している。


投資家は長らく“金一強”を信じてきたが、相場の主役はいつの時代も変わるものである。
金の価格が落ち着きを見せ始めた理由
2025年に入り、金の価格は上昇・下落を繰り返しながらも、これまでのような一本調子の上昇は見られなくなった。米国の金利政策や為替動向が交錯し、投資マネーが一方向に流れにくい環境にあるためだ。短期的な利益を狙う資金が離れ始め、より“割安な代替資産”への関心が高まっている。
その結果、プラチナ市場への資金シフトが起こりつつある。金が高値圏で推移するなか、プラチナはまだ割安水準にあり、相対的な魅力が増しているのだ。


金が“守りの資産”であるなら、プラチナは“次の成長を先取りする資産”といえる。
プラチナが注目を集める理由
プラチナ価格が上向いている背景には、いくつかの構造的な変化がある。まず、中国やインドを中心とした新興国の投資需要が拡大している点だ。金に比べて安価でありながら、希少性と工業用途の多さが評価されている。また、供給の大部分を占める南アフリカでの生産不安も価格を押し上げる要因となっている。鉱山ストライキや電力供給の不安定さが続く中で、供給が制限されている状況だ。
さらに、プラチナは水素社会の鍵を握る金属としての地位を確立しつつある。燃料電池車(FCV)や水素製造装置に必要不可欠な触媒として利用され、脱炭素化が進む世界において新たな役割を担っている。欧州や日本では水素インフラ投資が拡大しており、これが中長期的なプラチナ需要を支える。


金は過去を守る金属、プラチナは未来を切り開く金属とも言えるだろう。


プラチナの強みを整理
1. 希少性
プラチナの年間生産量は金の約20分の1ほどしかない。地球上での埋蔵量も限られており、採掘コストが高い。そのため供給が絞られやすく、需給バランスが変化すると価格が大きく動く。
2. 実需に支えられた需要構造
プラチナ需要の約7割は工業用途であり、自動車触媒や電子部品、水素関連機器などに使われる。つまり、投機マネーが抜けても実需が価格を下支えする構造になっている。
3. 割安感と上昇余地
長らく金より安い水準で推移してきたが、金との価格差は歴史的に見ても大きい。過去の平均比率に回帰するだけでも、プラチナには上昇余地があると考えられる。


プラチナの真価は価格差の修正局面でこそ発揮される。今はその起点に立っているのかもしれない。
投資するならどうすべきか
金とプラチナは、どちらが優れているというよりも性格の異なる資産である。金はリスクオフ局面で価値を発揮し、プラチナは景気拡大局面で強みを見せる。したがって、両者をバランスよく保有することが望ましい。
これから新規で投資を検討するなら、金が高値圏で方向感を欠いている今、プラチナを中心にポートフォリオを組むのも一つの選択肢だ。ETFを活用すれば、現物の保管コストも不要で、数千円から取引できる。代表的なのが「純プラチナ上場信託(1541)」であり、NISAの成長投資枠を使えば非課税で運用できる。


少額でもいい。市場が注目する前に、静かに仕込んでおくのが上級者の投資である。
今後の見通し
プラチナ市場の注目テーマは、今後10年で到来する脱炭素経済と水素エネルギーの普及だ。環境技術や再生可能エネルギーへの移行は一時的な流行ではなく、世界的な長期トレンドである。これにより、金よりも景気や産業動向に敏感なプラチナが再評価される可能性が高い。
また、金のように投資需要に依存しすぎていないため、ボラティリティ(変動率)は相対的に低い。中長期で安定的なリターンを狙うには、むしろプラチナの方が適している局面に入りつつある。


相場は静かに循環する。次の10年、輝きを取り戻すのは金ではなくプラチナかもしれない。


まとめ
金は依然として世界的な安全資産としての地位を保っているが、価格が高止まりする中で次の主役として浮上しているのがプラチナである。希少性と実需の強さ、水素社会という新テーマが重なり、長期的な成長ポテンシャルを秘めている。短期的な値動きに惑わされず、将来のエネルギー転換を見据えたポートフォリオにおいて、プラチナは新たな可能性を提示していると言えるだろう。

