遺族厚生年金の「中高齢寡婦加算」と「経過的寡婦加算」は何が違うの?

遺族厚生年金
目次

はじめに

遺族厚生年金には、配偶者を亡くした世帯の生活を下支えする加算として「中高齢寡婦加算」と「経過的寡婦加算」がある。名称が似ているため混同しやすいが、対象・支給時期・制度趣旨はまったく異なる。

さらに2025年(令和7年)の法改正により、中高齢寡婦加算は男女平等の観点から位置付けが見直された。本稿では両者の違いと、2025年改正後の最新の整理を解説する。

2025年改正の全体像(要点)

  • 男女平等の観点から、従来「妻(寡婦)」に限定していた給付の見直しを実施。
  • 中高齢寡婦加算は、配偶者全体を対象とする枠組みに再編(以下では「中高齢の配偶者加算」と総称)。
  • 経過的寡婦加算は既存受給者の権利保護を優先し、閉じられた制度として維持(新規発生なし)。
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中高齢は“拡張・平等化”、経過的は“維持・自然消滅”という対照構造で理解するとよい。

中高齢寡婦加算とは(2025年改正後の位置付け)

中高齢寡婦加算は、夫が亡くなり子のない世帯、または子がいても遺族基礎年金の受給が終了した後に、妻が40歳以上65歳未満の間、老齢基礎年金の受給開始までの生活を支えるために上乗せされる加算である。

2025年改正では、男女平等化の趣旨により「妻限定」の設計を改め、中高齢の配偶者加算(性別問わず)として再編された。改正前から受給している者は従来どおりの名称・要件で継続する。

  • 対象(改正後の原則):40歳以上65歳未満の配偶者(男女を問わず)、子のない世帯(または遺族基礎年金の終了後)。
  • 期間:65歳到達前日まで(老齢基礎年金開始までのつなぎ)。
  • 取扱い:改正前からの受給者は従来の「中高齢寡婦加算」として継続、新規は配偶者加算枠で適用。
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本質は“65歳までの橋渡し”。名称は変わっても役割は変わらない点を押さえたい。

寡婦年金

経過的寡婦加算とは(2025年改正後の位置付け)

経過的寡婦加算は、1985年改正で廃止された旧来の加算を救済する特例として設けられた上乗せで、昭和31年(1956)年4月1日以前生まれの女性を中心とした世代限定の措置である。65歳以降、老齢基礎年金に上乗せして支給される。2025年改正後も制度趣旨は変更されず、既存受給者の維持のみが原則で、新たな適用は基本的に生じない。

  • 対象:原則として当該生年の女性など、旧制度からの移行で不利益を受ける層。
  • 時期:65歳以降に老齢基礎年金へ上乗せ。
  • 取扱い:新規発生は見込まず、世代の進行とともに縮小・自然消滅の見通し。
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性格はあくまで“特例の名残”。平等化の議論の枠外にあることに留意である。

2つの加算の違い(改正後の整理)

中高齢寡婦加算と経過的寡婦加算の比較(2025年改正後)
項目 中高齢寡婦加算
(改正後:中高齢の配偶者加算)
経過的寡婦加算
制度趣旨 老齢基礎年金開始までの生活保障 旧制度廃止に伴う特例的救済
対象者 40歳以上65歳未満の配偶者(子のない遺族や子の基礎年金終了後)
※2025年改正で男女問わず
原則:昭和31年4月1日以前生まれの女性(夫の厚生年金で生活していた層)
支給時期 配偶者が40歳以上65歳未満の期間 65歳以降に老齢基礎年金へ上乗せ
改正の影響 「妻限定」から「配偶者全体」へ拡大。
新規は平等化された制度枠で適用
既存受給者の権利維持のみ。
新規発生は基本的に無し
将来の見通し 現役世代にも引き続き適用 対象者の高齢化に伴い自然消滅へ

よくある質問(ポイント)

中高齢の配偶者加算は男女どちらでも対象か?

2025年改正後の新規適用は男女とも対象である。改正前からの受給者は従来の取り扱いで継続する。

経過的寡婦加算は今後どうなるのか?

既存受給者の維持のみで、新規は基本的に発生しない。世代の進行で自然に縮小していく。

子がいる場合の扱いは?

遺族基礎年金の受給が終了した後に、要件を満たせば中高齢の配偶者加算の対象となる。

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自分(配偶者)の年齢帯、子の有無、受給中の年金の種類を時系列で並べると、該当可否がはっきりする。

まとめ

中高齢寡婦加算(現:中高齢の配偶者加算)は、2025年改正で“妻限定”から“配偶者全体”へと平等化された。一方、経過的寡婦加算は特例として既存受給者の維持にとどまり、新規発生は見込まれない。自分や家族の年齢・生年月日・受給状況を基に、どの加算がいつ適用されるのかを早めに確認し、見落としのない受給計画を立てたい。

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